
300年の歴史をもつ、兵庫県豊岡市・城崎温泉の老舗旅館「小林屋」が、訪日旅行者の“食の多様性”への需要増加を背景に、日本の伝統的な発酵文化を現代的に再解釈した新ディナー「発酵 花鍋コース」の販売を、12月1日(月)より開始した。
“旅先でも誰もが同じテーブルを囲める食体験”を実現
FOOD DIVERSITY社の記事によれば、近年の訪日客は「食」を旅の最重要項目に挙げる傾向が強まり、特にベジタリアン・ヴィーガン・ハラル・アレルギー対応の需要は年々増加していると指摘されている。
日本食の魅力は世界的に高まる一方、出汁や調味料に動物性素材が含まれるケースも多く、訪日客から「安心して食べられる店を探しにくい」という声も根強くあるという。
城崎温泉は、年間70万人が訪れる国際的な温泉地だが、地方エリアでは食の選択肢がまだまだ限られているのが現状。そこで、訪日客が5割を占める「小林屋」では、“旅先でも誰もが同じテーブルを囲める食体験”を実現すべく、“ヴィーガン料理専門家”監修のもと新メニュー「発酵 花鍋コース」を開発した。
「発酵 花鍋コース」の特徴

新メニュー「発酵 花鍋コース」の特徴は、日本の伝統「発酵」をテーマにした新しい鍋料理であること。五行野菜・季節のきのこ・豆・穀物など自然素材の滋味に、塩麹や味噌などの発酵の旨味を重ね、花が咲くように美しい鍋へと仕上げている。
また、コース全体が完全植物性で、グルテンフリー・ハラル対応も可能可能。食文化・宗教・健康上の理由を問わず、誰もが安心して楽しめるインクルーシブ設計となっており、食事制限のあるゲストとも同じ鍋を囲めるよう、あえて“分けない”スタイルが採用されている。
美と健康を意識する食事制限のないゲストには、体内デトックスとしてたっぷり野菜が摂れる鍋料理として提供。トッピングで地元食材の但馬牛、八鹿豚のしゃぶしゃぶ、松葉がにが追加可能となっており、旅館らしい贅沢さも両立している。
「発酵 花鍋コース」の鍋メニュー
「発酵 花鍋コース」の鍋には、自家発酵させた塩麹ベースのスープを採用。燻製した大豆と椎茸・昆布を一晩水につけたものに、野菜片(大根、人参、トマトなど)と生姜で味を整えている。

さらに、各自好みのスープに仕上げられるよう、地元産“朝倉山椒”オイル、すりおろし梨ポン酢、発酵唐辛子といった、3種類の味変アイテムを用意。グルテンフリー対応時には、別途ハーブスパイスが提供される。

鍋の具材として、台湾出身のスーシェフによる自家製「小籠包」は相性抜群。白菜、蓮根、豆腐、きのこ、生姜を基本具材として、季節替わりで味わうことができる。

鍋の〆には、豊岡“りゅう製麵”製の無添加うどんを。地海苔をたっぷりとのせた麺に、滋養がじっくり染み込んだ鍋のスープをかけて楽しもう。
鍋以外のメニューをチェック

前菜や焼物など、鍋以外のメニューにも注目!

豊岡名産「コウノトリ米」の赤米に、高野豆腐・きゅうり・いぶりがっこを混ぜた巻き寿司や、「ふるさと豆腐」の揚げをを使った稲荷寿司が並ぶ前菜「発酵の小鉢と手まり寿司」、

水切りした木綿豆腐を燻製し、揚げ衣にあられを使った「プラントフライ」、

季節の野菜や地元の豆腐屋さんの豆乳を使い、昆布出汁とカレー粉をブレンドした焼物「旬野菜のオーブングラタン」などが提供される他、

豆乳、葛粉、てんさい糖を使用した濃厚なプリンに、“美方ルビー”と呼ばれる、稀少な美方大納言あんこを添えたデザート「三方大納言小豆と濃厚抹茶プリン」が用意されている。

なお、一部料理は、季節ごとに食材が入れ替わるとのことだ。
「小林屋」について

Photo©️Kenta Hasegawa
「発酵 花鍋コース」の提供を始めた「小林屋」は、城崎温泉の中心部に佇む、創業300年の老舗旅館。

Lobby/Lounge

Penthouse Suite <吉右衛門>
SUPPOSE DESIGN OFFICEによる建築設計監修のもと、登録有形文化財の木造建築をリノベーションし、江戸期の美意識と現代デザインを調和させた空間で “日本の美しい佇まい -A Quiet Luxury”を国内外に発信している。

Dining <CYAN -詩庵->昼景

Dining <CYAN -詩庵->夜景
館内には、詩・現代美術・器をはじめとする文化的要素が息づき、ゲストは宿泊そのものを一つの作品のように味わうことが可能。海外メディアからも高く評価されており、英語圏では“A hybrid of traditional Japanese aesthetics and contemporary global sensibilities.”と紹介されているという。
「小林屋」で、すべてのゲストが安心して楽しめる“ダイバーシティ時代のガストロノミー”を目指す「発酵 花鍋コース」を味わってみては。
■小林屋
住所:兵庫県豊岡市城崎町湯島369
公式サイト:https://kobayashiya.co.jp
(佐藤ゆり)